ぱなっちの窓

チャイニーズ・レストラン

「バラが功を奏したようですね。これは、私からのプレゼント。」
と、ウェイターさんが、小さな箱を私の前に置いた。開けてみると、チョコレートが入っていた。
前に座っている彼がにこにこ笑っている。

その頃私は、スイス・コッテージにある彼のフラットで暮らしていた。
「今日、親父の誕生日をチャイニーズ・レストランで祝うんだけど。」と言われたとき、私は「せっかくだから、妹と3人で久しぶりの親子してきなさいよ。」と一緒に行かなかった。ただ単に家族の集まりっていうのが、苦手だったから。
その晩、彼はバラの花を一つ、私に持って帰ってきた。
「今日、彼女が一緒に来てくれなかった。このバラを持って帰れば、今度は来てくれるかも。」と言ってテーブルのバラをもらってきたんだそう。

ウェイターさんがそのときのことを覚えていて、それから数週間してそのチャイニーズ・レストランへ二人で行ったときに、私にチョコレートを振舞ってくれたというわけ。

中華街の中華料理もいいけれど、値段は張るけど、それ相応のサービスを期待できる地元のレストランが私は好きだった。だって、ここは食後におしぼりまで出てくるんだから。そして、特別にチョコレートもね。


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